企業が活用すべきSNSの特徴・選び方|2000名調査で解説

企業が活用すべきSNSの特徴・選び方|2000名調査で解説

テテマーチは電通マクロミルインサイト様と共同で、10代~50代の男女2000名を対象に、SNSによる消費行動を調査しました。

本記事では、Instagram・X(旧Twitter)・TikTokそれぞれのSNSの特徴やユーザー特性を解説するとともに、本データをもとに企業の商材ジャンルやターゲットに有効なSNSを紐解いていきます。

「どのSNSに注力すべきかわからない」「自社の商材ジャンルの場合、どのSNSを活用するのが目的に合っているのかわからない」という方は、ぜひ本記事をSNSを選定する判断材料としてご活用ください。

この記事でわかること

  • 各SNSの特徴とユーザー特性
  • 商材ジャンルやターゲットに合致するSNS
  • 購買行動に対するSNSの影響

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マーケティングに使うSNSの選び方|2000名調査で分かった業界・ターゲット別の媒体特徴
飲料|消費行動フェーズ×ターゲット(年齢・性別)

SNS運用とは

企業にとっての「SNS運用」とは、企業がInstagramやX(旧Twitter)、TikTokなどのプラットフォームの「公式アカウント」を作り、そこにいるユーザーへ商品情報を発信したり、コミュニケーションを図ったりすることを指します。

「SNS運用」と混同されやすいものとして「SNSマーケティング」がありますが、こちらはさらに広い概念で、企業の認知度や好感度の向上、ファン形成、さらには購買ルートの拡大など、SNSを活用した企業の利益につなげる取り組み全体を指します。
SNS運用は、SNSマーケティングにおける手法の一つなのです。

企業がSNSを運用・マーケティング活用すべき理由

弊社が電通マクロミルインサイト様と共同調査した結果から得た、10代~50代合計2000件のデータを用いてお伝えします。

商品・サービスの購買行動において、各フェーズで影響する媒体をそれぞれ聴取したところ(※)、「認知」で68.0%、「理解」で55.3%、 「購入・利用・来店」で54.9%と、どのフェーズにおいても「SNS」がトップに。

【調査概要】
調査期間:2023年11月20日〜2023年11月22日
調査対象者:SNS(X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、LINE、TikTokのいずれか)をほぼ毎日利用する、15〜59歳
サンプル数:2000名

SNSは、もはや認知拡大のみならず、その先の購買にまで影響する媒体となっているようです。企業としては、SNSを単なるPRツールとしてとらえるのではなく、資産としてとらえ、自社のビジネスに戦略的に取り込んでいく必要があるでしょう。

※・・・商材ジャンルを列挙した上で、設問「次の商品・サービスについて、あなたが知らなかった商品やサービスを知る・見つけることがある情報源/商品やサービスの詳しい特徴を理解できたことがある情報源/商品やサービスの購入・利用・来店のきっかけ、参考にしたことがある情報源はどれですか」をそれぞれ提示し、得られた回答結果をまとめてランキング化

企業のSNS運用で活用すべきSNS

そこで、企業はどんな手段(SNS)を用いるのがベストなのか。
これについては、SNSの目的や役割から考えていくのが良いでしょう。

以下はテテマーチが提唱する、SNS時代の消費行動モデル「PERCARS(パーカーズ)」

消費行動モデル「PERCARS(パーカーズ)」

図からわかるように、SNSは認知からブランディング、ファンづくり、購買にいたるまで、フルファネルで対応可能です。

このファネルを参考に「自社の立ち位置」「ビジネス上達成したいこと」「今不足している顧客層」などに沿った目的・役割を決定していきます。

例えば、ある程度認知はあるものの、顧客とのコミュニケーションが足らず盛り上がりに欠けている状況であれば、SNSの役割はブランドや商品の「理解促進」に、SNSの目的は「口コミ数アップ(=購買意欲の向上)」や「ブランド好意度の向上」として定めるのが良いでしょう。

このように目的・役割が決まったら、次は自社の商材ジャンルやブランドの市場規模、投下予算なども考慮しながら、最適なSNSを選んでいく流れです。

以降の章では、SNSごとの特徴を解説していきます。それぞれのユーザーの傾向や商材との相性にも言及しているため、SNS選定の参考にしてみてください。

SNSの利用状況

改めて、前掲した2000名調査のデータを見ていきます。

SNSの利用頻度

スクリーニング調査にて、SNSの利用頻度を聴取しました。

全体の結果で見ると「X(旧Twitter)」「Instagram」「LINE」は、「ほぼ毎日」利用する割合が半数を超えました
一方、「TikTok」を「ほぼ毎日」利用すると回答した割合は23.7%にとどまりました。「X(旧Twitter)」「Instagram」「LINE」のTOP3とはヘビーユーザーの多さで大きく差があります。

SNSの利用頻度

※設問「各SNSサービスについて、どのくらいの頻度で利用(閲覧・投稿)しますか(SA)」(スクリーニング調査)

しかし10代の回答結果のみを見たところ、「TikTok」を「ほぼ毎日」利用する割合が51.6%と、半数を超える結果になりました。
10代にとっては、TOP3に次いで、非常にヘビーな使われ方をしていることがわかります。
10代の若い世代から始まり、現在少しずつ幅広い世代に広がりつつある「TikTok」ですが、やはり頻度については年代差があるようです。

SNSの利用頻度(10代)

※設問「各SNSサービスについて、どのくらいの頻度で利用(閲覧・投稿)しますか(SA)」(スクリーニング調査)

SNSの利用時間

SNS利用者それぞれに対し、利用時間を聴取しました。

前掲した「SNSの利用頻度 」では「X(旧Twitter)」「Instagram」「LINE」がTOP3となっていました。しかし“利用時間”の長さで比較すると、「3時間以上」の利用率は「TikTok」が15.3%でトップに。

「2時間以上」(「3時間以上」「2時間以上3時間未満」の合計)利用する人で見てみると、「X(旧Twitter)」は17.1%、「Instagram」は18.3%、「LINE」は12.8%のところ、「TikTok」は27.3%と、約30%をマークしています。

「TikTok」の、ユーザーを退屈させない、アテンション・エコノミー(関心経済)に基づく独自のアルゴリズムが、ユーザーに狙い通りハマっているのかもしれません。

SNSの特徴|SNSごとの利用時間

※設問「利用しているSNSサービスについて、普段どのくらいの時間利用していますか(SA)」(基数:各SNS利用者)

SNSの利用目的

SNS利用者それぞれに対し、利用目的を聴取しました。

「Facebook」以外は全て、「暇つぶし」目的がトップになりました。
また「X(旧Twitter)」と「Instagram」の利用目的が、近似していることがわかります。前者はテキスト、後者は画像・動画と、仕様が大きく異なりますが、ユーザーの目的は概ね共通しているようです。

SNSの特徴|SNSの利用目的|全体の結果

※設問「利用しているSNSサービスについて、利用している目的をそれぞれお知らせください(SA)」(基数:各SNS利用者)

利用目的の中でも、特に企業側が気になる「商品やサービスの購入・利用の参考」の割合は「Instagram」で最も高くなり、22.7%に。

「商品やサービスの購入・利用の参考」は、具体的には、気になっている商品のレビューをチェックしたり、欲しいアイテムについてどのメーカーの商品がおすすめなのかを調べたりといった“興味・関心”段階にある行動のこと。“気になっているものについて、もっと理解を深めたい”という姿勢のユーザーにとっては、「Instagram」が使いやすいと認識されている様子がうかがえます。

一方、「商品やサービスの購入・利用の参考」は14.9%と、「Instagram」より低い割合となった「TikTok」ですが、トップの「暇つぶし」目的の割合が飛び抜けて高く、他の目的は全て30%未満にとどまっている点に特徴があります。

他のSNSよりも、情報収集やコミュニケーションなどといった、何らかの目的を持ってアプリを開くことが少なく、受動的な姿勢のユーザーが多い様子がうかがえます。

目的を持たずに自由気ままに“回遊”することで、思いもよらない出会いや新しい興味・関心を醸成。そこから一気に購買行動まで気持ちを高めていくという、近年注目の「TikTok売れ」のスタイルが表れているようです。

Instagramの特徴・ユーザー層・影響力

ここからは、Instagramについて詳しく見ていきます。

Instagramの特徴

TikTokは、発信元がそれまで投稿してきた文脈によらず、コンテンツ一つひとつのインパクトの強さ・エンタメ力によって広がっていく性質がありますが、Instagramは「好き」や「欲しい」を起点に繋がっていく性質があるため、必然的に接触するユーザーの関心度は高めです。

「発信元」に興味を持ってくれるチャンスも生じやすいですが、ユーザーが自社のプロフィールページに訪問した際、過去のコンテンツに一貫性があれば、企業のコンセプトやメッセージがストレートに伝わり、その後のファン化も期待できるでしょう。

■概要
・画像や動画を投稿して楽しむプラットフォーム
・ビジュアル訴求が得意なため、洋服や化粧品、料理など、商品そのものが見映えする商材ジャンルと相性◎
・ECと連携することで、Instagram上で商品紹介〜購買まで一貫したコミュニケーションが可能
 
■機能特徴
・“日常の瞬間を切り取る”をテーマとした、24時間限定投稿の「ストーリーズ」機能
・スタンプやテキスト、音楽、エフェクトなどを使ってオリジナルショート動画を投稿できる「リール」機能
 
■他のSNSとの比較
同じく画像や動画を扱うTikTokとの大きな違いは、よりコンテンツに“美しさ”や“一貫性のある世界観”が求められる点。細かく分かれたプロフィールグリッドやストーリーズのハイライト設置など、過去のコンテンツを掘り下げやすいプラットフォームの仕様にも、それが表れています。

TikTokは、発信元がそれまで投稿してきた文脈によらず、コンテンツ一つひとつのインパクトの強さ・エンタメ力によって広がっていく性質がありますが、Instagramは「好き」や「欲しい」を起点に繋がっていく性質があるため、必然的に接触するユーザーの関心度は高めです。

「発信元」に興味を持ってくれるチャンスも生じやすいですが、ユーザーが自社のプロフィールページに訪問した際、過去のコンテンツに一貫性があれば、企業のコンセプトやメッセージがストレートに伝わり、その後のファン化も期待できるでしょう。

性年代別のInstagram利用率

全年代において女性の利用率が男性を上回っています。特に10代・20代女性はそれぞれ95.0%・93%と、非常に高い割合に。若年層女性にアプローチしたい場合、Instagramの活用は必須になりそうです。
一方、男性の場合40代以降で利用率が急落しますが、それでも50%以上をキープしています。

SNSの特徴|性年代別のInstagram利用率

※設問「以下のSNSサービスについて、あなたはどのくらいの頻度で利用(閲覧・投稿)しますか(SA)」(スクリーニング調査)において、「利用(閲覧・投稿)はしない」以外の回答をまとめた結果をグラフ化

商材ジャンル別|Instagramの影響度(10代)

ここからは、「性年代別のInstagram利用率」で最も利用率の高かった10代について、Instagramの商品ジャンル別の影響力を見ていきます。

「ゲーム/玩具」を除く全ての商材ジャンルにおいて、「認知」「理解」「購入・利用・来店」の全段階で、女性の影響度が男性の影響度を上回っています。
ただ「化粧品」「ファッション関連」「外食店舗」において影響力が強くなる点は、男女ともに共通しているようです。

■商品・サービス認知に与えるInstagramの影響度

SNSの特徴|Instagramの商材ジャンル別|10代の影響度(認知)

■商品・サービスの理解に与えるInstagramの影響度

SNSの特徴|Instagramの商材ジャンル別|10代の影響度(理解)

■商品・サービスの購入・利用・来店に与えるInstagramの影響度

SNSの特徴|Instagramの商材ジャンル別|10代の影響度(購入・利用・来店)

※「認知」・・・設問「次の商品・サービスについて、あなたが知らなかった商品やサービスを知る・見つけることがある情報源はどれですか(MA)」(基数:各商品・サービス関与者)に対して、「Instagram」と回答した割合
※「理解」・・・設問「次の商品・サービスについて、あなたが商品やサービスの詳しい特徴を理解できたことがある情報源はどれですか(MA)」(基数:各商品・サービス関与者)に対して、「Instagram」と回答した割合
※「購入・利用・来店」・・・設問「次の商品・サービスについて、あなたが商品やサービスの購入・利用・来店のきっかけ、参考にしたことがある情報源はどれですか(MA)」(基数:各商品・サービス関与者)に対して、「Instagram」と回答した割合

Instagramはビジュアル訴求に優れたプラットフォームであるため、商品そのもの、もしくは商品を利用した時の“見映え”が購買を左右する商材ジャンルは、相性が良いのでしょう。
特に、男女ともに「ファッション関連」は最も影響力が強くなっていますが、女性の場合「化粧品」も同程度に飛び抜けていることがわかります。

一方、特に男女の違いが表れたのは「食料品」。
「認知」段階において、女性の場合は44.3%の影響力となっているものの、男性の場合は17.2%にとどまっています。

近年「地球グミ」(Trolli)や「雲グミ」(カンロ)など、食べて&見て楽しいエンタメ性のあるお菓子が、Z世代の、特に女性を中心に注目されました。そういった“映える”お菓子を知る手段として、Instagramを活用する女性の多さが表れているのかもしれません。

ファッション関連への影響

認知段階において、Instagramで最も影響力の強かった「ファッション関連」についてもう少し詳細を見ていきます。

他の媒体も含めた結果を確認したところ、10代におけるInstagramの影響力は「テレビCM」や「WEB広告」などをおさえ、ダントツのトップでした。Instagramの活用をしないことは、商品認知を獲得する上での機会損失を生んでしまうことになりかねないでしょう。

SNSの特徴|商品を認知するきっかけ|ファッション関連

X(旧Twitter)の特徴・ユーザー層・影響力

ここからは、X(旧Twitter)について詳しく見ていきます。

X(旧Twitter)の特徴

■概要
・140文字以内(無料の場合)のテキストを投稿して楽しむプラットフォーム
・画像や動画が無くともテキストのみで手軽に投稿できる
・テキストベースなため、口コミの生成に有効
・「テキストだけで即座に投稿できる」という仕様上、リアルタイム性に優れている
・最新情報を収集する場としても重宝されており、トレンドの移り変わりが早い

■機能特徴
・他のユーザーの投稿を自分のフォロワーに向けてシェアできる「リポスト」機能
・興味のあるトピックに関連するユーザーをまとめ、グループ化できる「リスト」機能

■他のSNSとの比較
日本ではLINEに次ぐ膨大なアクティブユーザー数を誇る上、他のプラットフォームよりも拡散性に優れているため(リポスト)、上手く活用できれば効率的に多くのユーザーにリーチできるツールだと言えるでしょう。
基本的にフォロワー数が多いほどその拡散力は強くなりますが、ハッシュタグやトレンドワードを取り入れることで、誰でも一定のインプレッション確保が可能です。

性年代別のX(旧Twitter)利用率

前掲したInstagramと比べると、全体的に男女差が小さいことがわかります。

また、Instagramの場合は、全年代において女性の利用率が男性を上回っていましたが、X(旧Twitter)の場合は、20代・30代・40代において男性の利用率が女性を上回る結果。

SNSの特徴|性年代別のX(旧Twitter)利用率

※設問「以下のSNSサービスについて、あなたはどのくらいの頻度で利用(閲覧・投稿)しますか(SA)」(スクリーニング調査)において、「利用(閲覧・投稿)はしない」以外の回答をまとめた結果をグラフ化

いわゆる“映える”画像や動画が無くともテキストのみで手軽に投稿できたり、ハッシュタグなどを活用すればフォロワーが少なくても一定の層に投稿を見てもらえたりと、(他のユーザーの投稿を見るだけでなく)“投稿して楽しむ”ハードルが低い点もX(旧Twitter)の特徴ですが、こうした仕様も、男性により好まれている要因かもしれません。

商材ジャンル別|X(旧Twitter)の影響度(20代)

ここからは、「性年代別のX(旧Twitter)利用率」で最も利用率の高かった20代について、 X(旧Twitter)の商品ジャンル別の影響力を見ていきます。

「認知」段階では、「飲料」「食料品」「ゲーム/玩具」「旅行商品」「オンラインサービス」「小売店舗」「外食店舗」と、多くの商材ジャンルにおいて男女差が小さいことがわかります。

その後「理解」「購入・利用・来店」段階で差は開いていきますが、中でも「ゲーム/玩具」は男女ともに20%以上をキープし続けていました。

■商品・サービス認知に与えるX(旧Twitter)の影響度

SNSの特徴|X(旧Twitter)の商材ジャンル別|20代の影響度(認知)

■商品・サービス理解に与えるX(旧Twitter)の影響度

SNSの特徴|X(旧Twitter)の商材ジャンル別|20代の影響度(理解)

■商品・サービスの購入・利用・来店に与えるX(旧Twitter)の影響度

SNSの特徴|X(旧Twitter)の商材ジャンル別|20代の影響度(購入・利用・来店)

※「認知」・・・設問「次の商品・サービスについて、あなたが知らなかった商品やサービスを知る・見つけることがある情報源はどれですか(MA)」(基数:各商品・サービス関与者)に対して、「X(旧Twitter)」と回答した割合
※「理解」・・・設問「次の商品・サービスについて、あなたが商品やサービスの詳しい特徴を理解できたことがある情報源はどれですか(MA)」(基数:各商品・サービス関与者)に対して、「X(旧Twitter)」と回答した割合
※「購入・利用・来店」・・・設問「次の商品・サービスについて、あなたが商品やサービスの購入・利用・来店のきっかけ、参考にしたことがある情報源はどれですか(MA)」(基数:各商品・サービス関与者)に対して、「X(旧Twitter)」と回答した割合

公式はX(旧Twitter)ユーザーはゲームに対して関心度が高く、購入意欲も高い傾向があると発表しており、やはりゲームとX(旧Twitter)の親和性は高いようです。

Twitterとゲームの関係性

また男性は女性よりも、認知〜購入段階までX(旧Twitter)が強く影響していることがわかります。

「理解」段階では特に「ゲーム/玩具」「オンラインサービス」「デジタルガジェット」の商材ジャンルの影響力が強く、「購入・利用・来店」段階になると「化粧品」「日用品」「ファッション関連」を除く全ての商材ジャンルにおいて、女性の影響度を上回っていました。男性がターゲットの商材ジャンルの場合、X(旧Twitter)の活用は必須であると考えられるでしょう。

X(旧Twitter)以外の媒体も含めてみると、より認知度が高いのはテレビCMがありますが、
若年層に絞るとテレビCMをX(旧Twitter)が超えています。
マスへ向けた認知拡大の面では、テレビCMは依然として大きな影響を持ちますが、ユーザー間の情報拡散も含めるとX(旧Twitter)の活用は重要になりそうです。

SNSの特徴|商品を認知するきっかけ|ゲーム/玩具

TikTokの特徴・ユーザー層・影響力

ここからは、TikTokについて詳しく見ていきます。

TikTokの特徴

■概要
・ショート動画を投稿して楽しむプラットフォーム
・「TikTok売れ」というキーワードが「2021年ヒット商品ベスト30」(日経トレンディ・日経クロストレンド)で第1位を記録するなど、ビジネス視点で近年最も注目度の高いプラットフォーム
・「フォロワー数に限らず、優良なコンテンツを評価し、適切なユーザーに届ける」という理念のもと、強力な機械学習による「コンテンツベース」のアルゴリズムを設定
・コンテンツベースのアルゴリズムにより、ユーザーにとっては“面白いコンテンツが何もせずに次々と出てくる”中毒性の高いアプリ

■機能特徴
・スマホ一つでハイクオリティなショート動画が完成する、豊富な編集機能
・他のユーザーと共同で投稿できる「デュエット」機能
・独自のアルゴリズムに基づく「おすすめ」機能

■他のSNSとの比較
同じくショート動画を扱うInstagramと異なる点は、“拡散性の高さ”“エンタメ性の高さ”
ダンスやコント、ショートドラマ、ショートフィルムなどのコンテンツが人気を集めており、企業がTikTokを活用する場合も、こうしたコンテンツスタイルに沿って企画することが求められます。

性年代別のTikTok利用率

ややブレはあるものの、年代が下がるにつれて利用率が高くなっていることがわかります。

前掲したInstagram・X(旧Twitter)の利用率には及びませんでしたが、特に10代女性は76.0%と、非常に高い数値を叩き出しました。
近年、ビジネス視点で注目を集めていることもあってか、30代・40代においては女性よりも男性の方が利用率が高い点も特徴的です。

SNSの特徴|性年代別のTikTok利用率

※設問「以下のSNSサービスについて、あなたはどのくらいの頻度で利用(閲覧・投稿)しますか(SA)」(スクリーニング調査)において、「利用(閲覧・投稿)はしない」以外の回答をまとめた結果をグラフ化

商材ジャンル別|Tiktokの影響度(10代)

ここからは、「性年代別のTikTok利用率」で最も利用率の高かった10代について、TikTokの商品ジャンル別の影響力を見ていきます。

「旅行商品」を除く全ての商材ジャンルにおいて、「認知」「理解」「購入・利用・来店」の全段階で、女性の影響度が男性の影響度を上回っています。

■商品・サービス認知に与えるTikTokの影響度

SNSの特徴|TikTokの商材ジャンル別|10代の影響度(認知)

■商品・サービス理解に与えるTikTokの影響度

SNSの特徴|TikTokの商材ジャンル別|10代の影響度(理解)

■商品・サービスの購入・利用・来店に与えるTikTokの影響度

SNSの特徴|TikTokの商材ジャンル別|10代の影響度(購入・利用・来店)

※「認知」・・・設問「次の商品・サービスについて、あなたが知らなかった商品やサービスを知る・見つけることがある情報源はどれですか(MA)」(基数:各商品・サービス関与者)に対して、「TikTok」と回答した割合
※「理解」・・・設問「次の商品・サービスについて、あなたが商品やサービスの詳しい特徴を理解できたことがある情報源はどれですか(MA)」(基数:各商品・サービス関与者)に対して、「TikTok」と回答した割合
※「購入・利用・来店」・・・設問「次の商品・サービスについて、あなたが商品やサービスの購入・利用・来店のきっかけ、参考にしたことがある情報源はどれですか(MA)」(基数:各商品・サービス関与者)に対して、「TikTok」と回答した割合

女性において「化粧品」「ファッション関連」の影響力が強くなる傾向は、Instagramと共通していましたが、「ゲーム/玩具」の影響力はTikTokの方がわずかに強いという結果に(※)。若い女性をターゲットにしたゲーム/玩具であれば、TikTokを活用する価値はありそうです。

一方、男性の場合、商材ジャンルの偏りが少ない印象ですが、特に「ファッション関連」は「認知」「理解」「購入・利用・来店」の全段階において安定した影響力の強さを見せています。

※・・・「認知」段階においてInstagramは21.4%・TikTokは26.9%(5.5ポイント差)、「理解」段階においてInstagramは12.4%・TikTokは16.6%(4.2ポイント差)、「購入・利用・来店」段階においてInstagramは15.2%・TikTokは19.3%(4.1ポイント差)


マーケティングに使うSNSの選び方|2000名調査で分かった業界・ターゲット別の媒体特徴
飲料|消費行動フェーズ×ターゲット(年齢・性別)

SNS別運用事例

ここからは、Instagram・X(旧Twitter)・TikTokそれぞれについて、具体的な企業事例を紹介します。

Instagramの運用事例|ニトリ公式

「お、ねだん以上。」をキャッチコピーとする、家具及びインテリア商品小売業の大手ニトリ株式会社。全世界で1000店近くのニトリグループ店舗を展開しています。

  • アカウント:@nitori_official
  • アカウント名:ニトリ公式|インテリア・家具

新商品や人気商品を、時期に合わせたテーマで紹介。洗練された“理想の暮らし”の提案と、商品を使った“暮らしのアイデア”の提案の両側面からアプローチしています。

特にニトリ公式は、コンテンツの作り込みに注目です。

フィードの1枚目は「どんな悩みを解決する商品なのか(コンテンツからどんな情報が得られるのか)」が一目でわかるようなクリエイティブが多く、また、投稿1回の情報量も多いため、タップされやすく・閲覧時間が長くなりやすくなっています。これはフィードにおいて重要視される「投稿を数秒見る」アクションを引き起こすための工夫であると言えるでしょう。

また、商品を購入したユーザーと積極的にタイアップ投稿をおこなうことで、ユーザー目線の親しみやすいコンテンツを実現。タイアップ投稿であっても「ナチュラルカラー×モノトーンテキスト」のトーン&マナー(トンマナ)が統一されているため見やすく、ユーザーが投稿を巡回する際のストレスも軽減されています。

X(旧Twitter)の運用事例|丸亀製麺

株式会社トリドールホールディングス傘下のうどん専門の飲食店。店内での製麺にこだわり、「打ち立て、出来立て」のうどんを顧客に提供しています。

  • アカウント:@UdonMarugame
  • アカウント名:丸亀製麺【公式】

最低でも1日2回の投稿でユーザーとのタッチポイントを増やしているほか、ユーザーの投稿をリポストしているのが特徴です。新商品が出るたびに調理動画を投稿したり、フォロー&該当商品の投稿リポストキャンペーンを実施したりと、UGC生成に積極的な印象もあります。

中でも2024年4月に実施した、ハッシュタグ投稿による大喜利キャンペーンは高いエンゲージメント率とUGCを生んでいました。

新作商品にちなみ「#焼きたて牛すきごぼ天ぶっかけ大喜利」と題して、投稿された漫画の吹き出しに一言食べた感想を入れ込む大喜利大会(割引クーポンのプレゼントフック付き)を開催。

定期的な投稿でユーザーからのブランド想起を高めつつ、新商品発売のタイミングでユニークな企画を打つという、良い流れの運用であると言えるでしょう。

TikTokの運用事例|ロート製薬株式会社

目薬をはじめとしたアイケア商品、胃腸薬、漢方薬、スキンケア用品など多くの商品を取り扱うロート製薬株式会社。

  • アカウント:@rototiktok
  • アカウント名:ロート製薬【公式】

TikTokのユーザー層に合わせ、本アカウントでは主に化粧水や日焼け止め、リップクリームなどといった美容アイテムを紹介しています。

基本的に「社員やアカウント運用担当者」の顔出しはしないスタイルでありながら、美容系インフルエンサーやオリジナルVtuber・根羽清ココロを積極的に活用することで、親しみやすいコンテンツに。

ハウツー動画や使用感動画といったベーシックなものだけでなく、高校生を主人公とした連続もののショートドラマや、実際の高校(品川女子学院高等学校)とのコラボレーション動画など、その企画のバリエーションも豊富です。それぞれのターゲットに合わせたコンテンツでユーザーの心を掴んでいる好事例と言えるでしょう。

SNS運用の流れ・業務内容

ここからは、テテマーチのサービス内容をもとに、SNS運用の具体的な流れと業務内容を紹介していきます。

戦略設計

まずは戦略設計からスタート。

テテマーチでは、ソーシャルメディア時代に最適化された独自の消費行動フロー「PERCARS(パーカーズ)」に基づき、ブランドとの初期接触から購買行動、ファン化、シェアまで網羅的にコミュニケーションを設計していきます。

SNS時代の消費行動モデル「PERCARS(パーカーズ)」

「SNS」単体でとらえるのではなく、他マーケティングチャネルも含めた、全体最適な視点でSNSの役割を定義。その上で、KGI・KPIの設計や運用コンセプトの策定をおこなっていきます。

  • KGI・KPI設計
    ブランドのゴールや他コミュニケーション施策も含めた俯瞰的視点でSNSアカウントの役割を再定義。各SNSのアルゴリズムや競合アカウントの状況から目標指標を策定します。
  • 運用コンセプト策定
    ターゲットユーザーのペルソナや競合SNSアカウントの調査を通じて、ユーザーニーズに合致したブランド訴求方針を定義。顧客起点のブランド訴求でユーザーの態度変容・行動変容を促します。

コンテンツ制作

次に、コンテンツ制作です。

ここまで決めた戦略を元に、カテゴリバランスなどを考慮しながらコンテンツを考えていきます。コンテンツ企画をする上で重要なのは、以下の2つ。

  • コミュニティ起点のターゲット設定
  • SNSに合致した手法/トレンド

■コミュニティ起点のターゲット設定
SNSの特徴はパーソナライズされた情報伝達にあります。
パーソナライズはユーザーのコミュニティ(興味関心)をアルゴリズムが察知し、おすすめする仕組みとなっているため、ターゲットを性別や年代で絞りすぎず、何に興味がある層に届くコンテンツとするのかを考えるのが重要です。

SNSコンテンツ企画 ターゲットの考え方

■SNSに合致した手法/トレンド
コンテンツを企画する上では、発信するSNSの特徴を踏まえた落とし込みが必要です。
例えば、Instagramはビジュアル訴求に優れたプラットフォームであるため、複数の画をカルーセルで表現する「まとめ投稿」や雑誌のようなデザイン表現をする「マガジン風」投稿、複数の画像(コマ)をまとめて投稿する「漫画」形式の投稿、小説やエッセイをそのまま画像として投稿する「読み物」形式の投稿などが、よく活用される手法です。

SNSコンテンツ設計ポイント

分析・改善

最後に、分析と改善です。

自社アカウントの投稿をテーマごとに分類したり、類似業界・競合と比較したりすることで現状の全体像が把握でき、目指すべき位置を定めることができます。

例えばInstagramにおいて、ブランドの認知拡大・理解促進を目的とした場合、各コンテンツをエンゲージメント・インプレッションの数値によって分類することで、それぞれのKPIに対しどれだけポジティブなのかを分析することができます。
同一コンテンツは捨象、継続するコンテンツを見極めることで勝ちパターンを探索
同時にアカウントの目的を再確認し、ユーザー・競合・自社の3つの視点から改善方針を策定しコンテンツへと落とし込み、ネクストアクションを決定していくという流れです。

目的を踏まえたネクストアクション

テテマーチでは、業界最大60,000アカウントが登録する分析ツール「SINIS(サイニス)」のデータやコンサルティングの知見を活かし、SNSの効果を最大化するPDCAサイクルを確立しています。

フォロワーの状況やエンゲージメント状況を整理し、アカウントの健康状態を確認。
そこから、アカウントが現在位置する成長フェーズを把握し、狙うべき指標を設定、改善に向けたアクションプランを設定していきます。


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3STEPで登録可能です。


まとめ

本記事では、電通マクロミルインサイト様との共同調査から得た、10代~50代合計2000件のデータをもとに、Instagram・X(旧Twitter)・TikTokそれぞれのSNSの特徴や、企業の商材ジャンルやターゲットに有効なSNSを解説しました。

いまやビジネス活用が当たり前となったSNSですが、自社のマーケティング活動に合ったSNSの選び方やコミュニケーション方法がわからないというご担当者様は多いはず。

ぜひ本記事を、SNS選定やコミュニケーション戦略の策定にお役立てください。

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近年、顧客ニーズの多様化や人口減少に伴う市場の縮小により、 新規顧客の獲得がますます難しくなっています。 また、情報過多の時代において消費行動の選択肢が増え、 ブランドへのロイヤルティが低下する傾向にあります。 これらの課題を解決する方法として重要性を高めているのがファンマーケティングです。 企業とファンが一体となり、深い関係を築くことで ロイヤルティの向上や共創関係の構築、その先の新規ファンの獲得などが期待できます。 実際にファンマーケティングを行う企業が増えている一方で、 ファンへのアプローチに対して自社に適した方法が分からない、 どんな効果があるのか見えていないとお悩みの方も多いのではないでしょうか? そこで、本カンファレンスではファンマーケティングの手法として用いられる 「SNS」「コミュニティ」「動画」「OMO」の4つのセッションテーマを設け、 各手法のファンへのアプローチにおける考え方や施策のポイント、事例をご紹介します。 視聴者の皆様が自社に適したファンマーケティング手法を見つけていただくことをゴールに 事業成長に繋がるファンマーケティングを解説いたします。

開催日 : 2024/10/15