Instagramアルゴリズム変更の影響をデータ検証!運用を始めたばかりのアカウントでも拡散のチャンス到来か?
Date : 2024/11/01
2024年4月30日、Meta社はInstagramのアルゴリズム変更を発表しました。このアップデートにより、アカウントのフォロワー規模に関係なく、すべてのクリエイターに拡散の機会が与えられるよう、おすすめ表示のランク付け方法が変更されました。特に、小規模クリエイターやオリジナルコンテンツにとっては、大きな拡散チャンスをもたらすものであると見られています。
では、実際にこのアルゴリズム変更がどのような影響を及ぼすのか?テテマーチは、Instagram分析ツール「SINIS for Instagram(サイニス フォー インスタグラム)」(※)に登録されているInstagramのアカウントデータを用いて検証を行いました。
本記事では、Instagramのアルゴリズム変更点と検証結果について詳しく解説します。
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目次
アルゴリズム変更が意味するInstagramの「狙い」とは
これまでのInstagramでは、フォロワー数が多いアカウントほど、リーチを獲得しやすい傾向がありました。これは、リーチを伸ばすためには、まずフォロワーから多くのエンゲージメントを得ることが重要だったからです。
そのため、小規模なクリエイターやオリジナルコンテンツを発信しているアカウントにとっては、大規模なアカウントに比べて自身の投稿が埋もれやすく、リーチを拡大するのが難しいと感じる場面が多くありました。
このような状況を改善し、リーチの配分をより平等にするために、Meta社はInstagramのアルゴリズムを見直しました。今回の変更の目的は、コンテンツの質を重視し、小規模クリエイターにも新しいユーザー層にアプローチするチャンスを与えることです。
■ 2024年4月30日 Instagramアルゴリズム変更のポイント
- 小規模クリエイターも平等にレコメンド
フォロワー数に依存せず、リーチできる可能性が高まる。 - オリジナルコンテンツの優遇
リポストやコピーコンテンツよりオリジナルが表示されるように。 - おすすめからアグリゲーターアカウントを除外
リポストが多いアカウントはおすすめ表示されなくなる。
小規模クリエイターも平等にレコメンド
今回のアルゴリズム変更により、リール投稿はフォロワーかどうかにかかわらず、まず少数のターゲットユーザーに表示され、その後、得られたエンゲージメントに応じてリーチが広がる仕組みへと変わりました。これにより、小規模クリエイターにも投稿が拡散されるチャンスが増え、フォロワー数に依存せず多くのユーザーにリーチできる可能性が高まっています。
オリジナルコンテンツの優遇
オリジナルコンテンツの作成には時間と労力を要するものですが、今回のアルゴリズム変更によって、オリジナルコンテンツが正当に評価されるためのアップデートが導入されました。
まず、同じコンテンツが複数回投稿されているとInstagramが判断した場合、オリジナルのコンテンツだけが優先的におすすめされます。つまり、音声や映像が一致する投稿の場合、リポストされたものやコピーよりもオリジナルが表示されるということです。ただしミームやパロディ、リミックス動画のように大幅に編集されている場合には、このルールは適用されません。
次に、リポストされたコンテンツにはオリジナル投稿者へのリンクが付けられるようになりました。これにより、元の投稿者が誰なのかをすぐに確認でき、オリジナル投稿者への評価が高まりやすくなります。オリジナル投稿者やリポストしたアカウントがこのラベルを削除することもできますが、デフォルトではすべてのユーザーから見えるようになっています。
おすすめからアグリゲーターアカウントを除外
オリジナルコンテンツが優遇されるアップデートとして、もうひとつ大きなポイントがあります。それは、他ユーザーの投稿をリポストばかりしているアカウント(いわゆる「aggregator(アグリゲーター)アカウント」)が、おすすめに表示されなくなるというものです。
具体的には、直近30日間で10回以上、他ユーザーのコンテンツをリポストしているアカウントは、おすすめフィードやリールタブでの表示が制限されます。ただし、ライセンス契約やコンテンツクリエイターから明確な許可を得ている投稿者については、このルールの対象外です。
再びおすすめに表示されるには、30日間でのリポスト数を10回未満に抑える必要があります。アカウントがこの基準を満たしているかどうかは、アカウントステータスで確認でき、場合によっては異議申し立てを行うことも可能です。
このように、今回のアルゴリズム変更は、アカウントの規模に依存せず、クリエイターのオリジナリティやコンテンツの質がより重視される方向へとシフトしています。これらのアルゴリズムは、数か月かけて段階的に展開される予定です。そのため、アカウントごとに影響が現れるタイミングがばらつく可能性があります。
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アルゴリズム変更の影響をどのように検証したのか?
今回のアルゴリズム変更が、リール投稿のリーチ数にどのような影響を与えたのかを実際のデータを用いて検証しました。特に、フォロワー数の少ないアカウントがどの程度リーチを獲得できるようになったのかに注目しています。
データソース | テテマーチが運営するInstagram分析ツール「SINIS for Instagram」に登録されているInstagramのアカウントデータ |
対象アカウント | ・フォロワー数が1,000未満 ・2024年6月時点でフォロワー数が10以上 ・総リール投稿数が5投稿以上 ・業界区分:個人 ・対象アカウント数:155 |
検証期間 | < アルゴリズム変更前 > 2024年1月1日〜2024年5月11日 < アルゴリズム変更後 > 2024年5月12日〜2024年6月30日 |
Meta社の発表によると、今回のアルゴリズム変更の対象は「小規模クリエイター」とされています。その影響を正確に捉えるため、今回はビジネスアカウントやフォロワー数が多いアカウントを対象からあえて除外しました。
また、今回のアルゴリズム変更は、「数か月かけて段階的に展開予定」と発表されているため、具体的な変更日を正確に把握することは難しい状況です。そのため、発表前後で数値変動の兆候が見られた5月12日を基点に、リール投稿のリーチ数やフォロワー数の変動をモニタリングし、アルゴリズム変更がどのように影響を与えたのかを分析しました。
ただし、検証期間(2024年5月12日〜6月30日)は、アルゴリズム変更の初期段階にあたるため、今後さらにアップデートの影響が顕在化していくことも念頭に置いておきましょう。
検証結果 ~データから読み解くアルゴリズムの影響~
それでは、検証結果を見ていきましょう。今回の検証により、アルゴリズム変更前後のリール投稿のリーチ数において、以下の変化が見られました。
- リール投稿のリーチ数が1本あたり平均57%増加
- リール投稿のリーチ数の標準偏差が78%増加
- リール投稿のリーチあたりフォロワー数が平均45%増加
リール投稿のリーチ数が増加
アルゴリズム変更後、リール投稿1本あたりのリーチ数が平均57%増加しました。
- 変更前(2024年1月1日〜5月11日):1投稿あたりのリーチ数平均は1,509
- 変更後(2024年5月12日〜6月30日):1投稿あたりのリーチ数平均は2,374
リール投稿1本あたりのリーチ数 | 変更前 | 変更後 | 増加率 |
---|---|---|---|
平均値 | 1,509 | 2,374 | +57% |
注目すべきは、フォロワー数が少ないアカウントでもエンゲージメントが高いコンテンツは、アルゴリズム変更後に大きくリーチを伸ばしている点です。これは、新しいアルゴリズムがフォロワー数に依存せず、質の良いコンテンツをより広く拡散させる仕組みを強化した結果と考えられます。
リール投稿のリーチ数の標準偏差が増加
リール投稿のリーチ数の標準偏差も78%増加しました。標準偏差とは、データの平均値からのばらつきや散らばり具合を表すもので、各データが平均値からどの程度にあるのかを表します。つまり、アルゴリズム変更後のリール投稿において、従来よりもはるかに多くのリーチを獲得するケースが増えたことを示しています。
- 変更前(2024年1月1日〜5月11日):標準偏差は5,446
- 変更後(2024年5月12日〜6月30日):標準偏差は9,681
リール投稿1本あたりのリーチ数 | 変更前 | 変更後 | 増加率 |
---|---|---|---|
標準偏差 | 5,446 | 9,681 | +78% |
この結果から、アルゴリズム変更後はリール投稿が「バズる」可能性が高まっていることがわかります。したがって、フォロワー数が少ないアカウントでも、初期の反応が良ければ投稿が爆発的に拡散されるチャンスが増えたと言えます。
安定してリーチ数を伸ばすアカウントには、以下の特徴が見られました。
- 定期的な投稿:定期的にリールを投稿し続けているアカウントは、全体的にリーチ数が安定しています。
- エンゲージメントが高いコンテンツ:投稿後、早い段階でコメントやシェアを多く獲得しているリールは、リーチ数が伸びやすい傾向にあります。
リール投稿のリーチあたりフォロワー数が増加
アルゴリズム変更後にリール投稿のリーチ数が増加していることは確認されましたが、単に検証期間中にフォロワー数が増加したからリーチも増えたのでは?という疑問が生じるかもしれません。この点を検証するために、リール投稿のリーチあたりフォロワー数も確認しました。
リーチあたりのフォロワー数 | 変更前 | 変更後 | 増加率 |
---|---|---|---|
平均値 | 2.25 | 3.27 | +45% |
中央値 | 0.54 | 0.64 | +19% |
標準偏差 | 11.36 | 15.29 | +35% |
データによると、アルゴリズム変更後のリーチあたりフォロワー数の平均値は45%、中央値は19%増加しており、フォロワー増加の影響を超えてリーチが拡大していることがわかりました。
また、リーチあたりフォロワー数の標準偏差が35%増加しており、リーチのばらつきも大きくなっていることが確認されました。これは、特定の投稿がフォロワー外にリーチして拡散されるケースが増加していることを示唆しています。
今回の検証では、主に個人アカウントを中心に分析しましたが、一部の企業アカウントでも同様の傾向が確認されました。「すべてのクリエイターに平等なチャンスを」というInstagramの意向を考えると、企業アカウントの運用においても今回のアップデートを考慮しておくことをおすすめします。
今後のInstagram運用に向けて
検証を踏まえて、今後のInstagram運用においては次のような展開が見込まれます。
フォロワー数が少なくてもリーチ拡大のチャンス
アルゴリズムの変更により、アカウントのフォロワー数にかかわらず、コンテンツの質が高いリールを投稿することで、多くのユーザーに届きやすくなりました。つまり、運用を始めたばかりのアカウントやフォロワー数が少ない場合でも、リールを活用すれば短期間でアカウント全体の成長を期待することができます。
データに基づくInstagram運用を
Instagram運用で成果を出すには、定量的なデータに紐づいた戦略設計が重要です。今回の検証で活用したInstagram分析ツール「SINIS for Instagram」は、アカウントデータをもとにした運用ロジックを可視化し、効果的な施策立案をサポートします。さらに、直感的な操作性と豊富なレポート機能も強みであるため、誰でも簡単にアカウントのパフォーマンスを分析することができます。
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