Instagramにおいて、リールはフォロワー獲得に繋がるのか?戦略が必要な理由とは
Date : 2022/09/26
最長90秒(2022年9月現在)の動画コンテンツをフォロワー以外のユーザーに届けることのできるリールは、高い拡散力が魅力の機能です。
『今後のInstagramはフィード投稿よりもリール?データで検証』では、Instagramにおいてリールの存在感が上がっていることを紹介しました。
しかし、リールがビジネスにおいてどのような“成果”を生むのかについては、いまだ不明瞭な部分も多いのが現状です。またリールを積極的に発信しているものの、期待していたほどの反応が得られていないと感じている担当者様も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、“リールはフォロワー獲得に繋がるのか”、“リールは知見が無いと活用が難しいのか”という疑問についての真偽をテテマーチの独自調査とともに探っていきます。
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目次
“リール活用はフォロワー獲得につながる”というのは本当か?
結論、弊社で取得したデータから判断すると、本当だと言えるでしょう。
今回はテテマーチが運営するInstagram分析ツール「SINIS(サイニス)」(※)に登録された複数のアカウントにて、エビデンスが取れました。
※「SINIS(サイニス)」は、Instagramアカウントのフォロワー数や投稿への反応数などのデータを閲覧、分析できるSaaSツール
https://sinis.jp
<調査概要> SINIS(サイニス)に登録されているアカウントのうち、リール投稿の再生回数とフォロワー増減数の相関性が高いアカウントを抽出し、データの日別推移をグラフに描画したところ、特に時系列での一致性が確認できたグラフを示しました。 |
以下は、リール投稿の再生回数とフォロワー増減数(いずれも3日移動平均)の相関性が特に高かった、3つのアカウントをピックアップしたものです。
※各グラフについて、データを見やすくするため集計期間を変更しています。
いずれのアカウントにおいても、時系列での、リール投稿の再生回数とフォロワー増減数の一致性が、グラフではっきりと確認できます。よって十分に“リール活用はフォロワー獲得につながる”と言えそうです。
“リールは知見が無いと活用が難しい”は本当か?
結論から言うと、当社の独自調査によると本当だと言えるでしょう。
理由として、以下の3つがあります。
理由①:以前よりも、リールの再生回数が伸びなくなっているから
- 集計対象アカウント:2021年8月中に1投稿でもSINIS(サイニス)でリール投稿のデータが取得できているアカウント
- 集計方法:各月の各アカウントのリール再生回数(平均値)を、月ごとに平均化して「リール再生回数(平均値)」を算出
- 集計対象アカウント数:のべ2,343アカウント(月平均195アカウント)
- 集計対象投稿数:14,363
SINIS(サイニス)に登録されているアカウントのうち、上記の条件に当てはまるアカウントのリール投稿のデータを分析。アカウントごとに、月ごとのリール再生回数の平均値を算出し、2021年9月〜2022年8月までの1年間のデータを確認したところ、徐々に“リールの再生回数が伸びづらくなっている”ことがわかりました。
2022年6月頃からリール再生回数の平均値が徐々に落ちていることがわかります。
リールの露出面が増えているにもかかわらず再生回数の平均値が落ちているということは、徐々に競合性が高くなっているということが考えられます。
理由②:知見なくリールを投稿してもフォロワー獲得にはつながりにくいことがわかっているから
積極的にリールに取り組み、かつ一定期間においてフォロワー増加数が多かったアカウントを見ても、リールのフォロワー増加への寄与度合いはさまざまであることがわかりました。
下のグラフは、SINIS(サイニス)に登録されているアカウントのうち、以下の条件を設けて抽出した114アカウントの1,974のレコードについて、リール再生回数(3日移動平均)とフォロワー増減数(3日移動平均)との関係性を散布図に示したデータです。
- リール再生回数(3日移動平均)が500,000以下
- フォロワー増減数(3日移動平均)が1,000以下
- フォロワー増減数(3日移動平均)が0以上
なお、ここでいうレコードとは、リール再生回数(3日移動平均)もフォロワー増減数(3日移動平均)も0ではない日のデータを指します。
また上記のような条件をつけているのは、外れ値を除いて、グラフを見やすくするためです。
データを見ると、点にばらつきが大きく、相関関係が低いことがわかります。
よって、“リール再生回数が伸びればフォロワー数も増える”とは一概には言えません。知見がないまま投稿したリールの再生が伸びたからといって、結果フォロワーに繋がるかというと、そうではないようです。
理由③:実際、リールに取り組む企業は多いが攻略できていない企業ばかりだから
テテマーチでおこなったアンケート調査によると、リールに取り組んでいる企業は多いが、運用上の課題感は他の機能と比較しても大きいことがわかりました。多くの企業にとって、いまだリール投稿については手探り状態ということではないでしょうか。
<調査概要>
- SINIS(サイニス)をご利用中のInstagramご担当者様・テテマーチの一部のお客様
- 有効回答数は274
- 調査期間は2021年12月21日〜2022年1月27日
- Googleフォームを使用
アンケート結果①:リールに取り組んでいる企業は多い
アンケート結果②:運用上の課題感は、他の機能と比較しても大きい
補足:「3日移動平均」について ・リールの「リール再生回数(3日移動平均)」とは、リールを投稿した日を含めた投稿後の3日間に、そのリールのデータ集計時点までの通算再生回数を均等に按分した数値です。例えば、5月1日に投稿したリールの通算再生回数が9,000の場合、5月1日、2日、3日の「リール再生回数(3日移動平均)」はそれぞれ3,000になります。本記事ではこの数値を、日別に集計し直しグラフ化しています。 ・「フォロワー増減数(3日移動平均)」とは、あるアカウントのフォロワー数について、起点となる日付を含めた後3日間のフォロワー増減数を平均した数値です。例えば、「フォロワー増減数」が5月1日は100、5月2日は50、5月3日は30だった場合、{(100+50+30)/3=60}なので、「フォロワー増減数(3日移動平均)」は60になります。本記事ではこの数値を、日別で集計しグラフ化しています。 以上のように「移動平均」を用いるのは、「リール再生回数」を正しく評価するためです。リールはその性質上、投稿から数日経ってもユーザーに再生され続けます。逆に言えば、投稿日に再生される割合は、通算再生回数の一部に過ぎません。しかし、SINIS(サイニス)のデータ取得仕様の関係で、弊社で保有している「リール再生回数」は通算再生回数のため、この数値を何日間かで按分し、複数日にわたって再生されている実情を反映したデータを用意する必要があります。これが「移動平均」を採用している理由です。なお、“3日”としているのは、他の日数と比較して、リール再生回数とフォロワー増減数との関係性がはっきりと出やすい日数だということが分かっているためです。 |
まとめ
本記事では“リールはフォロワー獲得に繋がるのか”、“リールは知見が無いと難しいのか”の真偽について、独自調査とともに探りました。
調査の結果、リール活用はフォロワー獲得につながるが、知見がないと十分に活用することが難しい、という結論となりました。
近年はTikTokの盛り上がりもあり、リールを含む“ショート動画”はSNS運用において欠かせないコンテンツのひとつとなっています。しかし、これらショート動画についてのそれぞれの特徴や文化の違いについて、しっかりと理解しないまま投稿している企業が多いのが現状です。運用に費やした時間を確実に成果につなげるため、運用はプロの知見を賢く活用するのがおすすめです。
テテマーチには研究開発組織として「サキダチラボ」を設けており、記事の中で取り扱ったようなInstagram運用・リールに関するデータやそれに基づくエビデンス、豊富な研究・分析結果を保有しています。またテテマーチは、2015年の創業以来700社以上のSNS運用支援で培った企画力を武器としています。
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