Instagramのフォロワー数やエンゲージメント率、業界ごとの基準とは?主要25業界・4,311アカウントから検証 〜KPIを正しく設定しよう〜

Instagramのフォロワー数やエンゲージメント率、業界ごとの基準とは?主要25業界・4,311アカウントから検証 〜KPIを正しく設定しよう〜

国内で3,300万人(2019年3月時点)もの月間アクティブアカウント数を誇るInstagramは、日常生活や旅行先での一枚を共有する写真投稿SNSとしてスタートしました。その後、機能の拡張やサービス向上により一般ユーザーだけでなく、多くの企業がアカウントの運用を開始し、今やビジネスシーンにおけるマーケティングツールとしても欠かせない存在となりました。

企業はアカウント運用にあたり、フォロワー数やエンゲージメント率をKPIとし、具体的な目標数値を設定していることが多いでしょう。しかし、その数値は本当に適切だと言えるでしょうか。アカウントの状態が上手くいっていると言える判断基準は何でしょうか

今回はこれらの問題に対し、企業アカウントを業界ごとに分析することで答えが見えてくるのではないかという仮説のもと、テテマーチが運営するInstagram分析ツール「SINIS for Instagram(サイニス フォー インスタグラム)」(※)に登録されたInstagramアカウントのデータを用い、独自調査をおこないました。本記事ではその調査結果をお伝えします。

本記事を読むことで、以下の状態が期待できます。

  • 自身の業界のフォロワー数・エンゲージメント率の基準値が概ね把握できる
  • 自身の企業アカウントの運用が上手くいっている状態かが概ね把握できる

※「SINIS for Instagram(サイニス フォー インスタグラム)」は、Instagramアカウントのフォロワー数や投稿への反応数などのデータを閲覧、分析できるSaaSツール


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調査・分析の結果は?

事実①:「フォロワー数」50,000を超えるアカウントは全体の10%にとどまる

結論、企業のInstagramアカウントにおいて、フォロワー数が50,000を超えるアカウントは全体の10%にとどまることがわかりました。つまり、Instagramの企業アカウントの9割は、フォロワー数が50,000以下であるということです。

<根拠データ>フォロワー数の分布

<調査概要>

  • 対象Instagramアカウント数:4,311件(※2022年10月31日時点でSINIS for Instagram(サイニス フォー インスタグラム)に登録されているアカウント)
  • 調査期間:2022年10月1日〜2022年10月31日
  • 調査対象:調査期間中に2022年10月中にフィード投稿を2件以上投稿しているアカウント
  • 除外対象:「各アカウントの、居住エリアがInstagramにより推定できているフォロワー」のうち、「日本以外の外国籍だと推定されているユーザー」の割合が50%を超えるアカウント(日本人をメインターゲットとしたアカウントのみの調査・分析とするため)

また上記のグラフから、ボリュームゾーンはフォロワー数1,001〜5,000の区間であることもわかりました。

事実②:比較的フォロワー数が増えやすい業界は出版・WEBメディア・アパレル

結論、フォロワー数の大小は業界ごとに大きく異なることがわかりました。つまり、フォロワーが多いか少ないかの基準は業界によって変わってくるということです。

<根拠データ>フォロワー数の分布

<調査概要>

4,311アカウントを25の業界・業種に分類(業界名の右側の数字は集計対象となったアカウント数)

・アパレル684 
・WEBメディア 480 
・住宅 429 
・飲食店 323 
・アパレル雑貨 280 
・美容製品 264 
・食品 241 
・ホビーアイテム 221 
・雑貨 186 
・ウェディング 154 
・美容サロン 121 
・スポーツ 103 
・宿泊施設 106 
・観光・レジャー 93 
・モビリティ 94 
・放送・映像・写真・音楽・芸能 74 
・家具・家電 73 
・飲料 67 
・自治体・観光協会・地域おこし 58 
・美容医療クリニック 63 
・複合商業施設 48 
・出版 40 
・ペット 39 
・妊娠・出産・育児 42 
・医療・福祉 28

グラフから読み取れることとして以下が挙げられます。

  • フォロワー数50,000を超えるアカウントの割合が多かった業界は、出版・WEBメディア・アパレル
  • フォロワー数1,000以下のアカウントの割合が多かった業界は、美容サロン・スポーツ・医療・福祉(※「スポーツ」にはスポーツチーム、スポーツ用品店、スポーツ系のスタジオなどが含まれる)

出版・WEBメディア業界の場合、その特性上、投稿に(それ自体にファンの集団を抱える)芸能人を取り上げることも多いため、フォロワーが増えやすいといった要因が考えられます。しかし、それ以外にもフォロワー増加の要因は考えられます。

ここで言う「出版・WEBメディア業界のアカウント」は、グルメ・レシピ、最新ファッション、話題のエンタメ、Z世代のトレンドなど「自社の商品やブランド」ではなく「世の中にある情報」を発信するアカウント全般を指していますが、まさに紙媒体の雑誌のごとく、取り扱うトピックが幅広い点に特徴があります。つまり扱うトピックが広い分、興味を持つユーザーの母数も必然的に多くなるということです。

また、「おすすめ●●ランキング」や「最新●●3選」といった切り口の投稿も多く、フォローしているユーザーはその投稿を見るだけで、自ら能動的にリサーチをしなくてもまとまった情報が手に入るようになります。
Instagramは興味がある分野の情報収集を目的に利用するユーザーが多いため、こういった有益情報発信系のアカウントは重宝されるということでしょう。

アパレル業界のアカウントも、商品情報だけでなく、ファッション雑誌のごとく着回しコーディネートや骨格問題解消コーディネートなど、多くの有益情報を盛り込んで発信するアカウントが多い傾向にあります。

つまり、投稿内容が情報系・まとめ系の業界はフォロワーが増えやすいと言えそうです。

一方、美容サロンやスポーツ、医療・福祉業界は、いずれも商圏が限られており、遠方から足を運ぶ可能性が少ない地域密着型の店舗が運営するアカウントが多い傾向があります。そのため、フォロワーは必然的に商圏内の地域住民に限られることになり、フォロワー数は増えづらくなります。

<主な業界のフォロワー数の傾向>

  • 出版・WEBメディア・アパレル業界

フォロワー数のレンジとしては5,001〜25,000が最も多いが、フォロワー数50,000を超えるアカウントの割合が最も多い業界でもあるため、フォロワー数のKPIが25,001以上の設定でも業界的に高すぎるということはない。

  • 美容サロン・スポーツ・医療・福祉業界

フォロワー数1,000以下のアカウントの割合が多い業界であり、フォロワーが集まりにくい傾向があるため、フォロワー数5,001以上のKPIは業界的に高いと言える。

  • 美容製品・雑貨・家具・家電・妊娠・出産・育児業界

フォロワー数のレンジとしては5,001〜25,000がボリュームゾーンではあるものの、フォロワー数25,001を超えるアカウントの割合が比較的多めの業界であるため、フォロワー数25,001以上のKPIは業界的にやや高い程度であると言える。

事実③:エンゲージメント率には業界差があるが、フォロワーはメディア系>ブランド公式系>実店舗系の順で集まりやすい

結論、フォロワー数とエンゲージメント率は業界によって大きく異なることがわかりました。業界ごとにフォロワーとエンゲージメント率の高低には傾向があるようです。

 <根拠データ>フォロワー数・エンゲージメント率

※円が大きい業界ほど集計対象のアカウント数が多く(多くのアカウントがある業界)、円が右側にある業界ほど「フォロワー数」(中央値)が多く、上側にある業界ほど「エンゲージメント率」(中央値)が高くなる

<調査概要>

  • 対象投稿数:65,721件のフィード投稿
  • フォロワー数:各業界のアカウントの、2022年10月31日時点でのフォロワー数の中央値
  • エンゲージメント率:各業界のアカウントの、2022年10月のフィード投稿のいいね数+保存数+コメント数の合計値をリーチ数の合計値で割った値を算出し、業界ごとにその中央値を取った値

上のグラフから、まず全体的にフォロワー数が多いほどエンゲージメント率が低いという傾向が読み取れます。これは、フォロワー数が増えるとフォロワー全体に占める、アカウントに強い興味や好意を持つユーザー(≒ファン)の割合が低下することが要因でしょう。

そしてバブルチャートに示された全25業界は、その広がり方から、おおむね以下の3つのアカウント群に分類することができます。

メディア系:多くの人が欲しがる有益な情報を発信するアカウント
ブランド公式系:特定のブランドやサービスにまつわる情報を発信するアカウント
実店舗系:特定の店舗や施設にまつわる情報を発信するアカウント

またこれら3つのアカウント群について、以下のような傾向を読み取ることができます。

メディア系:フォロワー数が比較的多く、(フォロワー数のわりに)エンゲージメント率が比較的高い

メディア系は、フォロワー数が多く、また、エンゲージメント率も高いアカウント群です。これは多くのユーザーに興味を持ってもらっており、かつ、反応も得られているということを意味します。メディア系に属する業界(WEBメディア、アパレル、出版など)を見ても、誰もが興味を持ちやすいような情報や商品を取り扱っていることが含まれていることが分かります。

メディア系のうち最もフォロワー数が多い出版業界は、前述した理由「メディア系はその特性上(それ自体にファンの集団を抱える)投稿に芸能人を取り上げることも多いため、そのファンによりフォロワーが増えやすい」という性質通りの結果だと言えます。
特にWEBメディアは有益情報を発信するアカウントの性質上、後から見返すことを目的に「いいね」をするユーザーや、「保存」するユーザーが多くなるため、エンゲージメントが高くなるのかもしれません。

ブランド公式系:フォロワー数は並程度で、エンゲージメント率は業界によって高低差が大きい

ブランド公式系は、フォロワー数は並程度で、エンゲージメント率にバラつきがあるアカウント群です。ブランド公式系の中には、ユーザーのエンゲージメントを促すためキャンペーンをおこなったり投稿で「いいね」を呼びかけたりするアカウントがある一方、ユーザーとのコミュニケーションよりもブランドが持つ美しい世界観を見せることを重要視する「ブランディング用アカウント」も存在します。こうしたアカウントの存在により、エンゲージメント率のバラつきが生じているのだと考えられます。

ブランド公式系のうち、特に飲料業界・食品業界のエンゲージメント率が高いことがわかります。これらの業界は、他業界に比べ扱う商品単価が比較的低いためプレゼントキャンペーンを頻繁におこなう傾向があります。単価が低いのにもかかわらず商品に対するユーザーの関心が比較的高く、応募者が集まりやすいというのも、キャンペーンを頻繁におこなう理由の1つです。
こうした頻繁なキャンペーン実施の結果が、エンゲージメント率の高さに表れたと考えられます。
また食品や飲料という「食事」カテゴリは、基本的に誰にでもニーズのあるカテゴリであること・日常生活に密接に関わるカテゴリであることから、「美味しそう!」「欲しい!」「買ってみたい!」「(レシピを)作ってみたい!」と思ってもらえる機会が多く、それがエンゲージメント率の高さに結びついているとも言えそうです。

実店舗系:フォロワー数は比較的少ないが、エンゲージメント率は業界によって高低差が大きい

実店舗系は、フォロワー数は比較的少なく、エンゲージメント率にバラつきがあるアカウント群です。実店舗系の中でのエンゲージメント率の高低差は、より興味を持つ人が限定される業界か否かという違いだと考えられます。

特にエンゲージメント率の低いウェディングや美容医療クリニック業界は、それぞれ結婚・肌改善(シミ除去や皺取り)など、基本的にピンポイントなタイミングで興味関心が高まる業界だと言えます。
したがって、いいねや保存といったアカウントに強い興味や好意を持つユーザー(≒ファン)の行動は、業界的に期待しにくいという性質があるのかもしれません。

ウェディングに多く含まれる結婚式場やブライダル用品店舗のアカウントは、ニーズが一時的にしか発生しないことに加え、以下の特徴も併せ持っています。

  • ニーズが極めて強くユーザー側の課題感も大きいため、ニーズが発生すると積極的にユーザー側から探索・検索する
  • 実店舗型の商売にしては、ユーザー側の購買候補地が広い
  • 「プレ花アカウント」(結婚式を控えた女性が、式の準備記録や情報収集をするための専用アカウント)にフォローされていることも多い

つまり、ユーザーにニーズが発生した際には能動的にウェディング関連のアカウントを検索するので、一定のリーチはあります。しかしユーザーの興味が持続するのは一瞬で、長期的にエンゲージメントを維持することはできないため、エンゲージメント率が低くなると考えられます。また、プレ花アカウントを結婚式後も削除しないユーザーが一定数いるため、フォロワー数は多いが実際のリーチ数は少ない(=エンゲージメント率も低い)、という可能性もあります。
一方、美容医療クリニック業界の場合は、投稿する画像が倫理的な問題やヌード画像規制などの影響で、Instagramプラットフォーム側から表示機会が制限されエンゲージメント率が低くなっている、ということも考えられそうです。

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まとめ

本記事では、企業アカウントのKPIが適切か否かの判断基準・アカウントの状態が上手くいっていると言える判断基準は何かという問題について、独自調査とともに探りました。
調査の結果、やはり業界によってフォロワー数・エンゲージメント率には特色があることがわかりました。つまり 「たとえフォロワー数が5,000であっても業界的には平均以上」、「エンゲージメント率が5%を超えていないと業界的には平均以下」という判断ができる、という結論となりました。

アカウント開設・投稿自体は無料だということもあり、今やInstagramは企業にとって、顧客との接点を持つためのツールとして欠かせない存在です。しかしフォロワー数・エンゲージメント率の目標数値の根拠があやふやだったり、そもそも目標数値を設定できていなかったりと、計画的な運用ができていない企業も多いのが実情です。本記事にあるように、自社アカウントが属する業界の基準値を知り今の状態を把握した上で、KPIを設定することが健全なアカウント運用であると言えるでしょう。

テテマーチには研究開発組織として「サキダチラボ」を設けており、記事の中で取り扱ったようなInstagram運用・フォロワー数やエンゲージメント率に関するデータやそれに基づくエビデンス、豊富な研究・分析結果を保有しています。
またテテマーチは、2015年の創業以来700社以上のSNS運用支援で培った企画力が武器です。データと企画力を活かしたアカウント運用支援をすることで、知見のない状態でのやみくもなトライをストップし、成果に着実に繋げていきます。
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